会社法では、定款(会社の憲法)自治を拡大し、株券の発行・不発行は会社に委ねられました。
会社法(平成17年7月26日法律第86号)の施行(平成18年5月1日)時には、みなし規定により、一部の株券廃止会社を除き、定款に“株券を発行する旨の定め”があるとみなされます。
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)によって、登記も職権で“当会社の株式については、株券を発行する”と記載されます。
株券の発行は「公開会社」、「公開会社でない会社」を問いません。「公開会社」の用語は会社法では、“定款に発行する全部又は一部の株式について譲渡制限の定めを設けていない株式会社”をいいます(会社法第2条第1項5号)。株式の全部に譲渡制限がある会社は「公開会社でない会社」となります。従来の上場会社=公開会社とはなりません。昭和41年の商法改正後に譲渡制限を設けなかった会社は「公開会社」となるからです。
会社法第215条
株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
2 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
3 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。
◎公開会社でない会社は株主の要求があるまでは、この条文の第4項によって発行しなくても違法とはなりません。
また株券を廃止した場合、廃止会社株主の立場から考えますと、公開会社でない会社では株主名簿が実在するのか疑問の会社に投資する訳なので、名義書換が唯一の対抗要件(第三者に対して主張すること。)では不安があるのも事実でしょう。なお、新設の会社でも定款に定めを置く事により株券を発行することが出来ます。